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かわいいゴキブリのおんなの子 メイベルのぼうけん

「メイベル、スープに落ちる」「メイベル、お茶会へいく」

"Maybelle in the Soup" & "Maybelle Goes to Tea"

 

ケイティ・スペック 作

By Katie Speck

 

大野八生 挿絵

 

 

 

 

 

 

 

メイベルは、ピンクのリボンをつけた

かわいい女の子。

チョコレートとラズベリージャムが大好きで、

ヘンリーという友だちがいて、

いつもはお家でおとなしくしています。

 

でも実は、ヘンリーは蚤(ノミ)で、

メイベルのお家は冷蔵庫の下……。

そうです。

メイベルは、かわいいゴキブリの女の子なんです。

 

え〜、ゴキブリの話なんてイヤ! 

ぜったいにお断り!

と、どうか言わないでください。私も、

なにをかくそう虫は大の苦手で、

特に飛ぶ可能性のある虫に出会うと

気を失いそうになります。

 

でも、この本を読んだとき、

うーん、虫の立場から見れば、たしかに、

なるほど、そういうことか、ふむふむ、むむむ、

ふふふ、ははははー!

と楽しい気分になりました。本当です。

なので、どうか試しに本を開いてみてください。

大野さんの挿絵がとにかく素晴らしいので、

メイベルちゃん可愛い! 

と、かならず思っていただけると信じています。

 

メイベルは、虫の「おきて」をきちんと守り、

昼間は冷蔵庫の下にかくれています。

だって、人間に見つかったら大変ですもの。

(どうなるかは、みなさんよくご存知かと……)

でも、メイベルは、ものすごく食いしん坊なんです。

いいにおいがしてくると、

誘惑にまけてしまい、

のこのこ明るいキッチンに出ていっては

いろいろと「やらかして」しまいます。

スープの中に落っこちたり、

サンドイッチにもぐりこんだり……!

 

さて、

メイベルに振りまわされるお気の毒な「人間」は、

ピーボディさんと、その奥様。

とてもきれい好きで、

自分の家には虫など一匹もいないと

思い込んでいます。

ですから、メイベルと遭遇するたび、

それはもう必死になって

やっつけようとするのです。

(そうですよね〜)

 

もちろんメイベルは、毎回命がけで逃げます。

そんなとき応援してくれるのが、ノミのヘンリー。

頼りにならないときもあるけれど、

メイベルにとってはかけがえのない相棒です。

 

他にも、

メイベルの宿敵、猫のロマーナや、

品がないけど憎めない、ハエのモーリスなど、

ゆかいなキャラクターが出てきて

お話を盛り上げます。

 

読み進むうちに、

みなさんも、いつのまにか虫の側に立って

メイベルを応援している自分に気づくかもしれませんよ!

 

 

(2013年  福音館書店)