「メイベル、スープに落ちる」「メイベル、お茶会へいく」
"Maybelle in the Soup" & "Maybelle Goes to Tea"
ケイティ・スペック 作
By Katie Speck
大野八生 挿絵
メイベルは、ピンクのリボンをつけた
かわいい女の子。
チョコレートとラズベリージャムが大好きで、
ヘンリーという友だちがいて、
いつもはお家でおとなしくしています。
でも実は、ヘンリーは蚤(ノミ)で、
メイベルのお家は冷蔵庫の下……。
そうです。
メイベルは、かわいいゴキブリの女の子なんです。
え〜、ゴキブリの話なんてイヤ!
ぜったいにお断り!
と、どうか言わないでください。私も、
なにをかくそう虫は大の苦手で、
特に飛ぶ可能性のある虫に出会うと
気を失いそうになります。
でも、この本を読んだとき、
うーん、虫の立場から見れば、たしかに、
なるほど、そういうことか、ふむふむ、むむむ、
ふふふ、ははははー!
と楽しい気分になりました。本当です。
なので、どうか試しに本を開いてみてください。
大野さんの挿絵がとにかく素晴らしいので、
メイベルちゃん可愛い!
と、かならず思っていただけると信じています。
*
メイベルは、虫の「おきて」をきちんと守り、
昼間は冷蔵庫の下にかくれています。
だって、人間に見つかったら大変ですもの。
(どうなるかは、みなさんよくご存知かと……)
でも、メイベルは、ものすごく食いしん坊なんです。
いいにおいがしてくると、
誘惑にまけてしまい、
のこのこ明るいキッチンに出ていっては
いろいろと「やらかして」しまいます。
スープの中に落っこちたり、
サンドイッチにもぐりこんだり……!
さて、
メイベルに振りまわされるお気の毒な「人間」は、
ピーボディさんと、その奥様。
とてもきれい好きで、
自分の家には虫など一匹もいないと
思い込んでいます。
ですから、メイベルと遭遇するたび、
それはもう必死になって
やっつけようとするのです。
(そうですよね〜)
もちろんメイベルは、毎回命がけで逃げます。
そんなとき応援してくれるのが、ノミのヘンリー。
頼りにならないときもあるけれど、
メイベルにとってはかけがえのない相棒です。
他にも、
メイベルの宿敵、猫のロマーナや、
品がないけど憎めない、ハエのモーリスなど、
ゆかいなキャラクターが出てきて
お話を盛り上げます。
読み進むうちに、
みなさんも、いつのまにか虫の側に立って
メイベルを応援している自分に気づくかもしれませんよ!
*
(2013年 福音館書店)