Books 既刊本(順次更新中)

ビアトリクス・ポター

嵐をしずめたネコの歌

"The Mousehole Cat"

 

アントニア・バーバー 作

ニコラ・ベイリー 絵

Written by Antonia Barber

Illustrated by Nicola Bayley

 

 

 

 

 

 

 

昔、イギリスのコーンウォール地方に

マウスホールという漁村がありました。

そこに年老いた漁師トムとモーザーという名のネコが

幸せに暮らしていたました。

ところが、ある年、村は大嵐に襲われます。

漁に出られない日が続き、

とうとう食べるものがなくなりました。

 

若い漁師には家族と未来があるが、

自分にはもう気にかける家族はいない。

そう思い、漁師トムはネコのモーザーと共に

命がけで荒海に出ていきます。

大嵐の正体知っているモーザーは、

トムを助け、嵐をしずめることができるでしょうか。

トムは魚を村にもってかえることができるでしょうか。

 

漁師とモーザーが互いに思いやる気持ち、

その絆の深さに胸を打たれます。

 

そして、ニコラ・ベイリーの細密画は

本当に美しく、

見るほどにため息が出ます。

 

原書は絵本ですが、

日本語版は縦書きの読み物として

装いを新たにしました。

 

このような文字が多い絵本を

幼年童話の形で出版することは時々あります。

クリスマスの本で紹介している

『ミミとまいごの赤ちゃんドラゴン』

そうなんですよ。

 

 

 

 

 

図書館にいたユニコーン

"I Believe In Unicorn"

 

 

 

マイケル・モーパーゴ 作

Written by Michael Morpurgo

ゲイリー・ブライス 挿絵

Illustrated by Gary Blythe

 

 

 

 

 

主人公のトマスは、

野山をかけまわることが大好きな8歳の少年

でも、学校の勉強も本を読むことも苦手です。

 

ある雨の日、

トマスはお母さんに連れられ

図書館へ行きます

そして、

しぶしぶ中へ足をふみ入れ目にしたのは、

なんとユニコーン!

まるで生きているかのように見える

木彫りの立派なユニコーンでした。 

しかも、

美しい女の人がその背に腰掛け、

お話をかたり始めたではありませんか。

トマスは、ほかの子どもたちと一緒に

夢中で女の人の話に耳をかたむけます。

 

このあと、 

ユニコーンの不思議な力にみちびかれ、

トマスは、本を読むこと、お話をかたることに

心を開いていくのです。

ところが……

 

ある日、おだやかな生活を一変させる

大事件がおこりました。

 

トマスが暮らす山間の村に

とつぜん「戦争」がやってきたのです。

爆撃で村の中心は破壊され、

あちこちで火の手があがります。

トマスや家族はどうなるのでしょう。

図書館の本やユニコーンは、燃えてしまうのでしょうか。

 

 

この本に出てくるユニコーンは、

物語の力、本の力を象徴しているように

思えます。

その力をあきらめないこと、

心から信じることの大切さを

著者モーパーゴは伝えたいのでしょう

 

モーパーゴは、

イギリスを代表する児童文学作家で、

物語の名手といわれています。

本の中で語られる

ノアの方舟とユニコーンのお話など、

読むうちに思わず引き込まれてしまいます。

 

100ページほどの短い作品ですが、

モーパーゴの物語世界を

きっと楽しんでいただけると思います!

 

*

この本の書評↓

 Book Asahi.com

 

 

(2017年 徳間書店)

 

帰ってきた船乗り人形

ナヤ・ヌキ

パスキ・ナナ

モホ・ワット

しんせつなかかし

ルール!

夏の終わりに

いつまでもベストフレンド

愛のうたをききたくて

かわいいゴキブリのおんなの子 メイベルのぼうけん

「メイベル、スープに落ちる」「メイベル、お茶会へいく」

"Maybelle in the Soup" & "Maybelle Goes to Tea"

 

ケイティ・スペック 作

By Katie Speck

 

大野八生 挿絵

 

 

 

 

 

 

 

メイベルは、ピンクのリボンをつけた

かわいい女の子。

チョコレートとラズベリージャムが大好きで、

ヘンリーという友だちがいて、

いつもはお家でおとなしくしています。

 

でも実は、ヘンリーは蚤(ノミ)で、

メイベルのお家は冷蔵庫の下……。

そうです。

メイベルは、かわいいゴキブリの女の子なんです。

 

え〜、ゴキブリの話なんてイヤ! 

ぜったいにお断り!

と、どうか言わないでください。私も、

なにをかくそう虫は大の苦手で、

特に飛ぶ可能性のある虫に出会うと

気を失いそうになります。

 

でも、この本を読んだとき、

うーん、虫の立場から見れば、たしかに、

なるほど、そういうことか、ふむふむ、むむむ、

ふふふ、ははははー!

と楽しい気分になりました。本当です。

なので、どうか試しに本を開いてみてください。

大野さんの挿絵がとにかく素晴らしいので、

メイベルちゃん可愛い! 

と、かならず思っていただけると信じています。

 

メイベルは、虫の「おきて」をきちんと守り、

昼間は冷蔵庫の下にかくれています。

だって、人間に見つかったら大変ですもの。

(どうなるかは、みなさんよくご存知かと……)

でも、メイベルは、ものすごく食いしん坊なんです。

いいにおいがしてくると、

誘惑にまけてしまい、

のこのこ明るいキッチンに出ていっては

いろいろと「やらかして」しまいます。

スープの中に落っこちたり、

サンドイッチにもぐりこんだり……!

 

さて、

メイベルに振りまわされるお気の毒な「人間」は、

ピーボディさんと、その奥様。

とてもきれい好きで、

自分の家には虫など一匹もいないと

思い込んでいます。

ですから、メイベルと遭遇するたび、

それはもう必死になって

やっつけようとするのです。

(そうですよね〜)

 

もちろんメイベルは、毎回命がけで逃げます。

そんなとき応援してくれるのが、ノミのヘンリー。

頼りにならないときもあるけれど、

メイベルにとってはかけがえのない相棒です。

 

他にも、

メイベルの宿敵、猫のロマーナや、

品がないけど憎めない、ハエのモーリスなど、

ゆかいなキャラクターが出てきて

お話を盛り上げます。

 

読み進むうちに、

みなさんも、いつのまにか虫の側に立って

メイベルを応援している自分に気づくかもしれませんよ!

 

 

(2013年  福音館書店) 

かわいいゴキブリのおんなの子 メイベルとゆめのケーキ 

「メイベル、女王様になる」「メイベル、学校へいく」

"Maybelle and the Haunted Cupcake" & "Maybelle Goes to School"

 

ケイティ・スペック 作

By Katie Speck

 

大野八生 挿絵

 

 

 

 

 

 

 

可愛いメイベルと相棒のヘンリーが巻き起こす

楽しいお話シリーズ第2弾です。

 

「メイベル、女王様になる」では、

働きアリのバーニスがメイベルのために

おいしいものを取りに行ってくれることになり、

メイベルは女王様気分を味わいます。

ところが、「おきて」を守らず、

キッチンへ無防備に出て行くバーニスに

メイベルはハラハラドキドキ!

しかたなく、ノミのヘンリーと救出に

向かいますが……。

 

 

「メイベル、学校へいく」では、

メイベルが10段がさねのタワーケーキの中で眠り込んでしまい、

 そのまま小学校のバザーへ行くことに。

メイベルが学校の中をうろうろしているうちに、

ヘンリーは捕まって

ノミのサーカスという見世物にされてしまいます。

メイベルはヘンリーを救い出せるでしょうか?

ふたりで無事にお家へ帰れるでしょうか?

 猫のロマーナとの追いかけっこや、

ミニカーでの逃走劇もお楽しみに。

 

最後は毎回食いしん坊を反省する

健気で可愛いメイベル。

ゴキブリとはいえ

やっぱり憎めません♡

 

みなさんもどうか応援してくださいね。

 

(2017年  福音館書店)

 

ねずみの家

"Mouse House"

 

 

 

 

ルーマー・ゴッデン 作

Written by Rumer Godden

たかおゆうこ 挿絵

 

 

 

 

 

 

ボニーは小さなネズミの女の子。

お父さんとお母さん、

たくさんのお姉さんお兄さんと一緒に

地下室にある植木鉢の家に住んでいます。

でも、家族があんまり多すぎて、

家はぎゅうぎゅう詰め。

ボニーは、いつも植木鉢から

押し出されてしまうのです。

ある晩、

ボニーは地下室を出て、

人間の住む世界にあがっていきました。

そして、迷いこんだ子供部屋で

立派な「ねずみの家」を見つけます。

でも、そこに住んでいたのは、

にせもののネズミで……。

 

さあ、子供部屋の「ねずみの家」が

どうして本物のネズミたちの「家」になったのか、

物語の名手、ルーマー・ゴッデンの

見事な筋書きをお楽しみください!

 

素敵な挿絵がたくさん入っているので、

最後までわくわくしながら

読み進められることと思います。 

たかおゆうこさんの絵は

お話にぴったり。

ネズミたちが可愛らしく生き生きと

描かれています。

 

 

(2001年  徳間書店)

 

うちはお人形の修理屋さん

お人形屋さんに来たネコ